イギリス:新しい抗がん剤を無償配布(初回1コースの治療)
抗がん剤 英で無償配布 米ファイザー、競合商品より優位に
サンケイビジネスアイ2009/3/12より
製薬最大手の米ファイザーは英国で、抗がん剤「スーテント」(一般名、スニチニブリンゴ酸塩)の承認を得るために2年間、この高価な新薬を無償で配るというひそかな活動を行った。スーテントは3年前に米国で承認され、2年前にはEU(欧州連合)でも承認された。
英国でやっと認可にこぎつけたのは2月。同国立臨床研究所(NICE)が、初回1コースの治療分を無償とした場合にスーテント投薬により費用に見合う患者の延命効果が得られたとの判断を下した。英国ではNICEが医薬品の費用対効果を判断し、保険対象にすべきかどうか提言する。
がん専門医でもある、ファイザーのロブ・デイ取締役は、無償配布を周知徹底するために、薬剤師やがん専門医あてに文書を送付したことを明らかにした。同取締役は、「ゆっくりだが着実に、英国中のがん患者がスーテントを服用するようになった。スーテントは長い間、市場に出回っていたので、その効果を示す証拠が得られた。また、臨床試験が加えられたことが当局の決定に影響した」と語った。
ファイザーは今回の販売活動でおよそ250万ポンド(約3億3895万円)を負担したが、スーテントが進行性の腎臓がんのファーストライン治療薬(治療歴のない進行がんの治療に用いる薬)として承認されたことで、がん治療薬最大手、スイスのロシュ・ホールディングや独製薬最大手バイエルなどが製造する競合薬よりも優位に立った。英国製薬産業協会(ABPI)のクリス・ブリンスミード会長(アストラゼネカ会長)は電話取材に対し、「高額の新薬が保険対象となるように、製薬各社による新薬の無償配布や医療機関へのリベートがさらに広がる可能性がある」と指摘。同氏は「製薬会社は一国だけで値下げはできないために無償配布をしている」と説明。「仮に英国で価格を引き下げることになっていれば、他の市場で値下げ圧力を受けただろう」と語った。
英国は独自の価格決定方式を持ち他の国々より薬価は低い。国民健康保険からの支出が低減、費用対効果の割合も改善された。医療関連予算の合計の約10%にあたる、毎年110億ポンド相当の医薬品が国庫で負担されている。
NICEのマイケル・ローリンス会長は先月、「市場が支払う金額で薬価を設定することのできた古き時代は終わった。支払う金額に応じた付加価値が必要だ」と述べた。(Michelle Fay Cortez)
2009年03月13日:がん:skyteam2007
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