Medical News Japan

Nurses to decide on resuscitation
看護師に蘇生の決定権が与えられます
BBC　2007/10/27

　ロンドン発－患者の心臓や呼吸が止まった時に、経験のある看護師たちに、患者を蘇生するかどうか決定に関与することを医師たちは許可する予定です。英国医師会が10/27に発表しました。

　以前は、医師だけが患者の蘇生を行うことが許されてきましたが、英国医師会、王立看護協会および蘇生協議会は新しいガイダンスを発表しました。

　医療専門家への新しいガイドラインによれば、経験を積んだ看護師たちにも、患者を蘇生するかどうかを決定する権限があるとされました。今までは、コンサルタントかGP(一般開業医)にのみ、蘇生に関する決定権が認められていました。

　患者協会は、この動きについて、「看護師は、医師よりも患者の希望について重視してくれる」と歓迎しています。

Death with dignity／尊厳死

　蘇生協会は「蘇生は5％でしか有効でないかもしれないが、このガイドラインは、患者にとって何ら得るものがない「不必要で尊厳を損なうような蘇生」を患者が受けることを回避することを目標にしています」といいました。

　しかし、英国医師会の科学・倫理のリーダーであるVivienne Nathanson医師によれば「これは心停止が生じそうな時にとられるべき決定についてのみであり、重要な鍵となる原理は従来どおり－つまり、不確実だったり、情報がないときは蘇生を行うべき－です」

　ガイドラインは、正しい判断ができるように「適切に経験を積んだ」看護師にのみ推奨しています。

　蘇生協会は、人々はテレビドラマを通して、「蘇生の手続き」が、実際よりは有効ですばらしいことだと信じるようになったと言いました。

　 蘇生協会の名誉幹事のDavid Pitcher医師は「最新のガイドラインでは、最期に近づいている人たちを、成功がしないかもしれない蘇生について議論して、臨終まであと数日の患者をさらに苦しめることは、必ずしも適切でないと明確に述べています。」といいました。

　「生存率は人によっては5％以下かもしれません。結果は極めて変化しやすく、テレビで見るようなものじゃありません」

　「蘇生は時には、長期にわたり、忘れられないほど衝撃的な医療行為であり、必ずしも成功するとは限りません」とDavid Pitcher医師は言いました。

　患者協会の報道官は「医師よりも、看護師たちは、状態の悪化した患者にとって、いつも身近な存在です。」「状態が悪化した時に、患者の死への考えや患者の個性のことを看護師たちはよく知っています」と言いました。


　末期の患者の選択肢をもっと増やそうというキャンペーンを行っているDignity in DyingのNick Moore氏は、このガイドラインの変化を「常識」だと言いました。
　「最後の数週間の状態の患者に不必要な蘇生を行うことは苦痛をさらに引き延ばすことになるかもしれません」と彼は声明の中で言いました。

不可避なこと／Inevitable

　患者協会の報道官は「我々全員にとって、死は避けられません。我々は、資格のある医療専門家たちの丁寧な介護をされた、できるだけ心地の良い状態で、尊厳死の形で、死を迎えられるように、安心したいのです」と言いました。


-----------------

Nurses allowed to decide on resuscitation
Reuter　2007/10/27

Nurses to decide on resuscitation
BBC 2007/10/27




参考リンク：安楽死・尊厳死：イギリス